知的生産におけるアーカイブとワークスペースの使い分け
目次
この記事の内容
- デジタル時代の知的生産ではアーカイブとワークスペースの使い分けという課題が生じる。
- アーカイブとワークスペースを使い分ける場合は連携させることが重要。
- 情報のつながりを生み出せるアーカイブをワークスペースとして用いることが理想。
知的生産の一般的なフローは、既存の情報を反応させて新しい価値を創造し、それを新たな情報として記録することだと思います。よって、以下の図のように知的生産においては情報の倉庫(アーカイブ)と新しい価値を創造する作業場所(ワークスペース)が必要です。
アーカイブとは
本, Webページ, 論文, 日記, メモ等の過去の情報をしまっておく倉庫。料理で言えば冷蔵庫のようなもの。材料が可視化されていることと、すぐに情報を取り出せることが重要。
例
- 脳(記憶)
- Google検索
- 私のEvernote
ワークスペースとは
過去の情報をつなげて反応させ、新しい価値を生み出す場所。料理で言えば鍋のようなもの。情報や思考の整理をすることが重要。
例
- 脳(思考)
- 文章執筆ソフト
- アウトライナー
アーカイブとワークスペースは使い分けるべきか?
料理の例では、料理が作れる冷蔵庫は未発明なので必然的に使い分けが生じます。ただし、冷蔵庫の中身を見ずに料理を作ることは困難なので、冷蔵庫は可視化された状態で鍋の近くにある場合が多いでしょう。
一方、(デジタルの)知的生産においては、Evernoteの中に資料を蓄積して、同時に文章執筆をすることはできます。つまり、Evernoteはアーカイブ(冷蔵庫)と、ワークスペース(鍋)の両方として使用可能です。
そして、Evernoteのような汎用性の高いツールが散乱していることが、「アーカイブとワークスペースの使い分け」という問題を生む一つの原因となっています。
Choice1: アーカイブとワークスペースを使い分ける
アーカイブと別の場所にワークスペースを用意することは、効率的にアウトプットするために有効です。
たとえば報告書を作成する場合は、作成する資料のアウトラインをWordで作成し、Google検索で材料を集めることで、資料を作成することができます。しかし、Google検索の情報をEvernoteに保存しても最初に意図したアウトプット以外に役立つことはほとんどありません。つまり、自分用のアーカイブ内の情報が活用されず死んでしまうという課題があります。
Choice2: アーカイブとワークスペースを使い分けない
アーカイブの中に、情報を全部まとめて入れておき、それらを整理しながら資料作成をするという手法です。アーカイブの場所で作業することで、既存の情報がつながりやすくなるというメリットがあります。ただしこのようなシステムは整理が難しくなります。
独創的なアイディアは雑多な情報をごちゃまぜにしてそれらの共通点を整理することによって生まれてくるものだと思います。そのためには報告書を作るためのアウトラインではなく、偶発的な反応を起こしていくことが必要です。よって、理想的にはアーカイブとワークスペースは同一の場所にあるか、それらが互いに連携していることが望まれます。
まとめ
知的生産のためには、「情報をかき混ぜて新しいつながりを生み出せるアーカイブ兼ワークスペース」をいかに構築するかが重要だと思います。
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