卒業研究の進め方1
今回は、今年度から研究を開始したB4(学部4年)もしくはM1で、研究の進め方に悩んでいる人に向けて卒業研究の進め方のTipsを書きました。ちなみに私は、実験化学系なので他分野には当てはまらないかもしれません。
目次
研究の進め方について
まず、基本的な研究の進め方を以下の図に示しています。
「文献調査 → テーマ設定 → 実験計画 → 実験 → データまとめ → ディスカッション → 発表」というのが基本的な流れになります。
ここで重要なのは、一周でゴール(学会発表・論文発表)に到達することはほとんど無く、ディスカッションの後に新たに文献調査をしたり、新たな実験計画を立てて実験をする必要があるということです。私は、このサイクル数とサイクルの質の積に研究成果がほぼ比例すると考えています。
すなわち、「研究サイクルの質」×「研究サイクルの数」∝「研究テーマに対する達成度」 というイメージです。
よって、卒業研究を上手く進めたい場合はそれぞれのステップを効率よく進めていくことが大事です。以下にそれぞれのステップについて、Tipsを箇条書き形式でまとめてみました。
文献調査
論文を探す
- Google ScholarやWeb of Science、Sci Finderでキーワード検索をする。
- 一つのトピックについて掘り下げたいときは重要文献を2-3個選んで、それの引用・被引用文献をチェック(Web of scienceで可能です)して重要そうな文献を次に読む、さらにその文献の引用・被引用文献をチェックすることを繰り返す。
これは、一般に1をやる人が多いと思いますが、一つのトピックについて掘り下げたいときは2の方法をおすすめします。 また、この作業はReadCubeのRecommendation機能や引用・被引用文献を読む機能を使うと効率化できます。
論文を読む
- 論文を読む際のおすすめの順番は ”Abstract → Conclusion → Introduction流し読み → Experimental流し読み → Result and Discussionを流し読み & 図の確認 → Result and Discussionを精読”
- 基本的なことですが、Fig. Xと書いてあるところは、その図を参照しながら読めという意味です。
- 自分なりにメモをしながら読む。
論文の内容をまとめる
- 自分の言葉でまとめる。 自分の言葉でまとめられないところは理解できていない証拠なので、わからないところとしてまとめておく。
- 適当なタイミングでまとめたノートを先輩に見せて聞く or 専門書や論文で調べる。
- 現状では、まとめる場所として無料で無難なのはMicrosoft OneNoteだと思います。
【番外】おすすめの文献管理方法
ReadCubeで文献を管理するのがおすすめ。以下の記事を参考にしてください。
研究テーマの設定
研究テーマの設定は非常に難しいので、今回は省略します。新しく研究を始める学生には、指導教官から研究テーマがある程度は設定されているはず。
実験計画
- 与えられた目的に到達するために、必要な実験を計画する。 しかし、必要な実験がわからなければ最初はとにかく手を動かすしかない。
- 実験を計画した思考プロセスも残しておくこと!卒業論文等で結局アウトプットすることになります。
- 実験の計画作業においては、とにかく何でも良いので書き出して整理する。この作業ではアウトライナーやマインドマップを使うのがおすすめ。
- 実験ノートに書く。実験計画は詳細に実験ノートに記録しましょう。
- 今やっている実験が、目的に対してどういう位置づけにあるのかを常に意識する。
実験ノートの書き方は、こちらの本が非常に読みやすくておすすめです。
実験
実験について私から言えることは、「安全は全てに優先する。」ということだけです。
データまとめ・解析
- データはこまめにまとめて、じっくりと見る。(失敗だと思ったデータも大切に)
- データを可視化しないと考察はできない。実験を遅らせてでもグラフ作成と解析は進めるべき。
- PowerPointファイルにテーマ毎にまとめると良い。
考察・ディスカッション
- 考えたことは書き起こす。今日考えたことは明日忘れます。
- 新しいデータはできるだけ先輩を捕まえてディスカッションする。データについて説明すると理解が深まります。
- わかったことに加えて、新しい課題と解決策を考える。ディスカッションにデータだけを持ってくるのは高校生、考察を持ってくるのが学部生、考察と課題と解決策を持ってくるのが大学院生です。
- 先輩が結果を理解していると思わないこと、自分の研究に一番詳しいのは自分のはず。
以上、まだまだ漏れがあると思いますが、ざっと思いついてことをまとめてみました。学会発表・論文発表についてはまたいつか書きます。
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